「『ギリシアがローマを征服した』とはどういうことか？」
古代ローマでは，歴史学でのプルタルコス（『対比列伝』），自然科学でのストラ
ボン（『地理誌』）やプトレマイオス（天動説）などギリシア人が多く活躍してい
る。哲学でもストア派が流行し，ヴェルギリウスによる建国叙事詩『アエネイス』
にホメロスの影響が大きいように，ローマの文明は精神文化のあらゆる分野でギリ
シアの強い影響が見られる。つまり，ギリシアはローマに武力では負けたが，精神
文化では逆にローマを征服したのだ。
＜評価の観点＞
関心・意欲・態度：
謎々めいた問いかけに興味を持つことによって，ローマの文明を学習することへの
意欲を高めている。
思考・判断：
「軍事力ではローマに屈服して属州にされたギリシアが，精神文化ではローマを屈
服させた」ことに着目することにより，ローマの文明について重層的に考察してい
る。
資料活用の技能・表現：
『アエネイス』（ヴェルギリウス）や『自省録』（マルクス＝アウレリウス＝アン
トニヌス帝）の抜粋を資料として読み，前者はホメロスの『イリアス』のローマ版
であり，後者はストア派の哲学書であることを実感として理解する。
知識・理解：
ギリシア文明の模倣としての作品や，文化人として活躍したギリシア人などを中心
に，ローマの文明の一側面について基本的な知識を身につけている。
